【情報】上座部仏教とは何か 社会編

憲法における地位

我が国の最高法規である「スリ・カンディ王国憲法」では、1972年から仏教──ここでの仏教とは上座部仏教である──に対し「至高の地位」を与えている。国王陛下は皆仏教徒であらせられるし、首相や閣僚、国会議員も殆どが仏教徒である。憲法では国王の信教を仏教に制限し、更に国王と国家に仏教の「保護と繁栄の為の凡ゆる努力」が義務付けられ、内務省下部組織として仏教行政と統括を担当する宗務院が設置されている。
ただし以上の状況は、仏教が国教の地位を有することとは同義ではない。憲法は併せて「国民の信教の自由」を認めているし、多くはないが非仏教徒の国会議員も存在する。地域次第では仏教徒の割合が半分前後になる場合もあり、多宗派が弾圧されているわけではないのだ。

王国内の信徒割合

ここで、我が国における宗教割合について触れておこう。2011年のデータによれば、実に国民の7割が仏教徒であるらしい。次点がヒンドゥー教の約12.6%、更にイスラム教(約9.7%)とキリスト教(約7.5%)が続く。
地域別で見ると、1981年のデータではキャンディ州南部、ジャフナ・バッティカロア両州、そして西海岸の極一部を除いて全てが仏教徒で占められている。ジャフナ州はその歴史から非仏教徒が多く、かつてのLTE活動領域とよく重なっていることが分かるだろう。

国際社会での活動

「ブッディズム」としての繋がりから、アジア諸国との交流が盛んである。1950年には我が国主導で世界仏教徒連盟が組織され、世界平和を成さんと日々活動に邁進している。
また上座部仏教としては、世界各地に協会を置いて理解と布教に努めている。日本では「日本テーラワーダ仏教協会」がそれにあたり、この組織は更に日本国内の数ヵ所に精舎と呼ばれる支部を持つ。

執筆者:ビームラーオ・ダルマパーラ
スリ・カンディのガンゴダーウィラ大学卒業、日本の南都大学客員教授。専門は南伝仏教史、仏教教義。

【日本語版】スリ・カンディ王国政府広報紙 サティ

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