【文化】聖地アヌラーダプラ
アヌラーダプラはアヌラーダプラ州の州都であり、アヌラーダプラ県の県都であり、さらに古のアヌラーダプラ王国の都でもあります。今でこそ面積36㎢とやや小さい町ですが、そこに積み上げられた歴史には目を見張るものがあります。
我が国の古典的な歴史書『マハーワンサ』や『チューラワンサ』に依れば、アヌラーダプラは紀元前5世紀から実に1,500年以上の間シンハラ人王朝(アヌラーダプラ王国)の都でありました。その地位にある間、20年弱ほどシーギリヤへ遷都したこともありましたが、王都としての機能を放棄したのは11世紀のポロンナルワ遷都とされています。この遷都を以てアヌラーダプラ王国は滅んだとされ、ポロンナルワ王国が後継者となります。
国内にあっては歴史ある古都としての側面以上に、仏教の聖地としての顔が知られています。市域にはスリー・マハー菩提樹と呼ばれる樹木が聳えており、伝承に拠ればインドはアショカ王息女のサンガミッター長老尼がもたらした枝から生えたとされ、元の木はなんと釈迦が成道した際に背後に聳えていた菩提樹だと言います。そのこともあってか市内には多数のストゥーパ(仏塔)が散財し、新市街と分離の上で保護されています。
ストゥーパ群で最大のものは74mを誇るアバヤギリ仏塔で、建立は紀元前1世紀とされています。他にもルワンワリサーヤ仏塔(冒頭の画像)やイスルムニヤ精舎をはじめとして数々の遺跡が公開されています。
土木遺構として灌漑用水のための人工湖(ウェワ)が多く残り、その技術力の高さが窺えます。気候的にドライゾーンに位置する当地域では雨季が年1回であり、溜池による灌漑はまさに生命線でした。似た技術は南インドにも見られ、海を越えた両者の交流が見てとれます。
コロンボからはノーザンラインで訪問可能なこの町は、他にも複数の幹線道路が接続しています。そのため、古都キャンディや景勝地トリンコマリーへの行動にも最適です。我が国へご旅行の際は、是非お立ち寄りください。
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